抄録
5年間に当院外科で経験した上腸間膜動脈閉塞症9例を対象として,診断・治療・予後について検討した。症例は男性5例,女性4例で,平均73.2歳であった。症状悪化から受診するまでに平均5.8時間を要した。全例が心血管系疾患を有し,心房細動の合併を8例で認めた。初診時に施行した造影CTにより全例で上腸間膜動脈閉塞症と診断できた。そして血液検査結果と全身状態の評価をもって,外科切除を行うか,血栓溶解療法や血栓除去に進むかを決定した。動脈相CT検査は動脈閉塞の部位を同定でき,また簡便に行えることから,上腸間膜動脈閉塞症の診断に有用な検査である。高齢のため治療に至らなかった1例を除き,治療を行った8例全例を救命できた。血栓溶解療法を4例で行い,外科切除を5例で行った。上腸間膜動脈閉塞症に対して早期診断と適切な多角的治療手段は,死亡率の減少と術後QOL改善につながると思われた。