抄録
閉鎖孔ヘルニアは,術前診断が困難とされていたが,現在ではCTなどの発達により嵌入時におけるその診断率は高い。しかしながら嵌入と自然整復を繰り返す症例においては,非嵌入時の画像診断は困難と考えられる。嵌入と自然整復を繰り返し診断に難渋した閉鎖孔ヘルニア症例を経験した。症例は78歳,女性。主訴は右下腹部痛,大腿部痛であった。多くの病院にてMRI,造影CTなどを施行され,原因の同定が不能であった。当院においても同様の症状にて来院。2回目の来院で,嵌入時の画像診断を得,確定診断を行えた。嵌入時は診断が比較的容易であるが,非嵌入時は診断が困難であり嵌入時を逃さない迅速な対応が肝要と思われた。原因不明の大腿部痛,下肢痛を認めた場合,本症の存在を念頭に置くことが肝要と思われた。また本症例のごとく,診断に難渋するような症例では,診断と治療を兼ねることが可能な腹腔鏡下手術は有用な方法と考えられた。