日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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原著
S状結腸軸捻転症20例の臨床的検討
岡田 剛史小練 研司藤本 大裕澤井 利次森川 充洋村上 真廣野 靖夫五井 孝憲飯田 敦片山 寛次山口 明夫
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2014 年 34 巻 6 号 p. 1089-1094

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抄録

当院で経験したS状結腸軸捻転症20例を後ろ向きに検討し,臨床的特徴や治療方針について考察した。初診時に腸管壊死を疑った2例で緊急手術を施行,18例で内視鏡的整復を先行した。18例中,6例は整復不成功のため緊急手術を行った。他の2例では整復成功後早期に再捻転し緊急手術を行ったものの2例とも死亡した。また3 例は複数回の整復既往や高度な結腸の拡張を認め,再発を危惧し待機的にS状結腸切除術を施行した。腸管壊死群8例と非壊死群12例を比較すると,壊死群でCRP値が高く,造影CTで腹水ならびに腸管血流低下を認める割合が有意に高かった。現状では非壊死と診断した場合は内視鏡的整復が第一選択とされているが,自験例では内視鏡的整復を先行した18例中,11例で最終的に手術が必要であり,内視鏡的治療で治癒しない症例が相応の割合で存在することを念頭においた患者マネジメントが重要と考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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