日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
症例報告
術前に大動脈遮断バルーンを挿入し根治的緊急止血術を行った腹腔内出血の2例
田邉 三思柴田 智隆野口 剛平塚 孝宏赤木 智徳岩下 幸雄石井 圭亮猪股 雅史北野 正剛
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2014 年 34 巻 7 号 p. 1413-1417

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抄録

循環動態の安定化および総出血量の減少に大動脈遮断バルーンカテーテル(intra-aortic balloon occlusion:以下,IABO)が有用であった外傷性腹腔内出血の2例を経験したので報告する。症例1は59歳,男性。交通外傷で当院搬送となった。脾損傷による腹腔内出血を認め,緊急開腹止血術を必要としたが,循環動態が不安定であり,救急外来で手術を施行した。術前にIABOを挿入し,術前から止血完了まで循環動態安定させることができた。症例2は70歳,女性。交通外傷で当院搬送となった。腸管損傷および腸間膜損傷に伴う腹腔内出血を認め緊急開腹止血手術を行う方針とした。IABOを予防的に挿入し,術中に循環動態が不安定となったため,大動脈遮断により循環動態を安定化させ手術を終了できた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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