抄録
閉鎖孔ヘルニアは,高齢の痩せた女性に多い比較的まれな疾患である。緊急手術となることが多く,そのアプローチ法やヘルニア修復法は定型化されていない。今回われわれは,腸閉塞症を伴う閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対し,腹腔鏡下メッシュ修復術を施行した1例を経験したので報告する。症例は96歳,女性。認知症で精神科病院入院中,1週間前より腹部膨満,右下腹部痛,嘔吐を認め当院に救急搬送された。腹部骨盤造影CT検査で右閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施行した。腸閉塞症例であったが,腹腔鏡下経腹的アプローチに必要な視野は確保できた。右閉鎖孔に嵌頓した回腸を解除したのち,ヘルニア門の修復は,鼠径へルニアに対するTAPP法に準じて行った。右閉鎖孔に嵌入したヘルニア囊を抜去したのち,右閉鎖孔にメッシュシートを被覆した。経過良好で術後第12病日に退院となった。術後9ヵ月の現在に至るまでヘルニア再発を認めていない。