日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
十二指腸憩室穿孔の2例
石井 健太平松 和洋加藤 岳人
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2016 年 36 巻 1 号 p. 153-158

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抄録

症例1は70歳代, 女性。半日前からの心窩部痛を主訴に当院を受診した。腹部CTで十二指腸下行脚の憩室と後腹膜気腫を認め,十二指腸憩室穿孔と診断した。発症から来院までの時間が短く,後腹膜腔の液体貯留が少量であったため保存的治療を選択した。症状はすみやかに軽快し第19病日に退院した。その後2年間再発を認めていない。症例2は70歳代, 女性。3日前からの腹痛を主訴に当院を受診した。腹部CTで十二指腸下行脚の憩室と,後腹膜気腫,後腹膜液体貯留があり,十二指腸憩室穿孔と診断した。発症から時間が経過しており緊急手術を行った。穿孔部縫合閉鎖,大網被覆,胃空腸吻合,十二指腸・胆道ドレナージを行った。術後経過良好で,合併症なく第20病日に退院した。十二指腸憩室穿孔はまれな疾患であるが,診断には腹部CTが有用と思われ,また発症早期の症例では保存的治療が奏効する可能性がある。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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