日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
外傷性小腸穿孔,汎発生腹膜炎手術後に横紋筋融解症を伴う高体温をきたした1例
桐山 宗泰平松 和洋加藤 岳人柴田 佳久
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2016 年 36 巻 3 号 p. 673-679

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抄録

症例は43歳,男性。家族歴,既往歴に特記すべきことなし。バレーボール中に腹部を強打し,当院救急外来受診した。血圧80/52mmHg,脈拍112回/分,腹部は板状硬であった。CT検査上,多量の腹水の貯留とfree airを認め,外傷性消化管穿孔による汎発性腹膜炎,敗血性ショックと診断し,同日緊急手術を施行した。空腸に1cmほどの小孔を認め,同部を切除し吻合した。術後,フェンタニル,プロポフォールの持続投与で鎮静を行った。2PODより38℃を越える発熱を認め,感染に対する治療を施行したが,7PODに体温は41.1℃となりフェンタニル,プロポフォールを中断した。シプロヘプタジンの投与と体外冷却にて6時間後には体温は37.5度へ解熱した。ダントロレンも併行して投与した。横紋筋融解症を併発し,血液透析を必要としたが,その後は高熱の出現なく,軽快退院した。経過からセロトニン症候群の可能性が考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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