日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
原著
シートベルトによる腸管穿孔症例の検討
大村 健史森 勇人幸田 朋也川下 陽一郎近清 素也井川 浩一倉立 真志八木 淑之
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2016 年 36 巻 7 号 p. 1173-1176

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抄録

当院を受診しシートベルトによる腸管穿孔と診断された14例について検討を行った。 男性11例,女性3例で,平均年齢は49歳。四輪車運転手が13例で助手席乗員が1例であった。全例受傷時シートベルトを着用しており,うち10例にシートベルト痕を認めた。病着時ショックになっていたものは5例で,すべて腸間膜損傷合併による腹腔内出血が原因であった。CT撮影は13例で行われ,うち2例でfree airを認めなかった。治療は全例に開腹手術が行われた。単発の腸管穿孔は5例,残り9例は多発損傷(うち4例は多発穿孔)であった。転帰では1例死亡例があった。シートベルト痕と腸管穿孔に強い関連が示唆された。Free airがすぐ出現しない症例や,時間が経ってから症状が出現する症例もあり,診断にあたっては慎重な判断,対応が必要である。また,腸管損傷は多発する傾向にあり,手術の際は見落としのないよう注意すべきである。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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