日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
イレウス管留置による逆行性小腸重積症の1例
高 和英吉田 寛進士 誠一菅 隼人山田 岳史内田 英二
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2017 年 37 巻 4 号 p. 603-606

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抄録

症例は50歳,女性。子宮内膜癌の術後第15病日目に腹部膨満,嘔吐を主訴に当院女性診療科に入院となった。単純性腸閉塞の診断で経鼻胃管による減圧を試みたが改善なく当科紹介となった。同日イレウス管を挿入し間歇的吸引減圧を開始した。イレウス管挿入後3日目に嘔吐,腹痛が増強し,CT検査を施行した。イレウス管の中間部の小腸に同心円状の多層構造が認められ,小腸内に腸間膜脂肪および腸管が陥入していた。腸重積と診断し,緊急手術を施行した。Treitz靭帯近傍の近位空腸が逆行性に約10cm陥入していたが,壊死はなく自然整復が可能であった。また回盲部近傍の回腸が後腹膜に癒着しており,これが腸閉塞の原因と考えられ,癒着剝離を行った。イレウス管留置中の逆行性に陥入した腸重積は比較的まれであり,文献的考察を加えて報告する。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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