日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
大腸ステント留置後に食餌性イレウスをきたした1例
海氣 勇気桒田 亜希内藤 浩之平野 利典
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2017 年 37 巻 4 号 p. 673-676

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抄録

症例は104歳,女性。食思不振を主訴に近医を受診し,イレウスを疑われ精査目的に当院紹介受診した。腹部造影CT検査でS状結腸に全周性の不整壁肥厚像を認め,口側結腸は拡張をきたしていた。大腸癌イレウスと診断し,自己拡張型金属ステント(self-expandable metallic stent:以下,ステント)を留置した。ステント留置4日後に腹痛,腹部膨満を認めた。腹部造影CTを撮影したところステント内異物によるイレウスが疑われた。下部消化管内視鏡を施行し異物除去を行ったところ梅の種子であった。近年,大腸癌イレウスに対するステント留置が普及してきているが,これまでステント留置後に食餌性イレウスをきたした症例の報告はない。また,大腸食餌性イレウスに対する治療法として,内視鏡的治療が奏効した例はまれである。今後高齢化が進むにつれ同様の症例が増加すると思われ,治療法も含め本症例は貴重と考えられた。

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© 2014, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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