日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
転倒を契機として発症した高齢者外傷性横隔膜ヘルニアの1例
吉田 充彦柳澤 真司小林 壮一岡庭 輝須田 竜一郎
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2018 年 38 巻 3 号 p. 583-586

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抄録

症例は74歳,女性。自宅内で転倒し近医整形外科を受診した。右第4・5肋骨骨折と診断され,バストバンドによる安静指示となっていた。受傷後より徐々に日常生活動作の低下を認めていた。受傷後18日目になり呼吸困難を認めたため前医再診した。胸部単純X線検査で異常影を指摘され,同日当院救急外来紹介受診となった。当院での胸部単純X線検査で縦隔の左方偏位および右胸水,右胸腔内腸管ガス像を認め,胸腹部CT検査で小腸の右胸腔内脱出像を認めた。転倒による外傷性横隔膜損傷による腸管の右側胸腔内への脱出および胸水貯留と診断し,同日緊急手術を施行した。右横隔膜に約4cm程度の裂創部を認め,同部位から回腸が約120cmにわたって右胸腔内へと脱出していた。回腸を腹腔内へ用手的に還納し,横隔膜の縫合閉鎖術および右胸腔ドレーン留置術を施行した。術後経過は良好で第15病日に退院した。転倒により発症した横隔膜ヘルニアはまれであり報告する。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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