日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
腹腔鏡下に整復し得た原発性小腸軸捻転症の1例
犬飼 公一髙嶋 伸宏野々山 敬介原田 真之資藤幡 士郎宮井 博隆山本 稔
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 38 巻 3 号 p. 595-597

詳細
抄録

症例は既往のない56歳男性。突然の腹痛を主訴に当院救急外来を受診した。腹部造影CT検査上,臍下に小腸のclosed loopを認め,緊急で審査腹腔鏡を施行した。術中所見では回腸が50cmほど180度反時計回りに捻転していたため,腹腔鏡下に整復した。全小腸を検索したが捻転の原因となる癒着や腫瘤性病変を認めず,原発性小腸軸捻転症と診断した。 腸管の蠕動は良好であったため,腸管切除は行わず手術は終了した。術後6日目に経過良好で退院となった。小腸軸捻転症はまれな病態で術前診断が困難なことが多い。CT画像において小腸間膜のwhirl signが特徴的とされ,また原因としては過食や激しい運動などの関与が指摘されてはいるが,本症例ではどちらも認めておらず非典型的であった。小腸軸捻転を腹腔鏡で整復し得た症例は検索しうる限りまれであった。腹腔鏡の使用は診断や低侵襲の治療という意味で,非常に有効であると思われた。

著者関連情報
© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
前の記事 次の記事
feedback
Top