日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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特集:敗血症・院内感染にいかに挑むか
下部消化管由来DIC・敗血症症例に対する治療の現状:DIC制御と血液浄化療法
山根 祥晃大井 健太郎福田 健治山根 成之建部 茂野坂 仁愛
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2018 年 38 巻 4 号 p. 649-655

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抄録

下部消化管穿孔や虚血は全身への感染から敗血症を生じ,しばしば臓器障害,DICをきたし生命を脅かす。重症敗血症に対する血液浄化療法としてポリミキシン固定化カラムや持続血液濾過透析が行われている。2014年に重症敗血症にAN69ST膜が保険収載され当院でも同年12月より導入を開始した。2010年1月から2018年1月までの下部消化管穿孔・虚血73例をAN69ST膜導入前後で前期35例,後期38例に分け,さらにA群(救命)・B群(晩期死亡)・C群(28日以内死亡)をサブグループとしてAPACHE Ⅱ・SOFA・急性期DICスコアを検討した。救命率は前期に比べ後期で上昇し,またDIC併存率は死亡群で高い他,後期A群で高い傾向にあった。AN69ST-CHDFは12例に実施し9例で救命し得た。下部消化管由来敗血症に対するDIC制御およびAN69ST-CHDFが救命率上昇につながる可能性が示唆された。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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