2018 年 38 巻 5 号 p. 853-856
症例は79歳女性。左側腹部痛を主訴に近医を受診,単純CT検査の結果,腹腔内出血を疑われて当院に転院した。来院時のバイタルサインは安定しており,造影CT検査では左副腎腫瘍の破裂所見と血管外漏出像を認めた。副腎腫瘍出血の診断で緊急Interventional Radiology(以下,IVR)を施行,左中副腎動脈と上副腎動脈の責任血管にゼラチンスポンジを用い止血した。術後経過は良好で術後第8病日自宅退院,発症約4ヵ月後に待機的に腹腔鏡下副腎腫瘍摘出術を施行した。摘出標本は直径3.0×5.2×3.0cm,重量57gの表面平滑な腫瘍で,病理組織学検査で副腎皮質腺腫と診断した。副腎皮質腺腫破裂はまれである。本症例は緊急性の高い腹腔内出血に対しIVRで止血,待機的に低侵襲な腹腔鏡下副腎腫瘍摘出術を施行し得たため報告する。