2018 年 38 巻 5 号 p. 921-924
症例は73歳女性。前日から続く腹痛を訴えて近医を受診したが軽快せず,当院救急外来を受診した。造影CT検査で横行結腸の拡張とwhirl signを認め,結腸脾弯曲部軸捻転症と診断した。腸管壊死を疑う所見を認めなかったため,内視鏡的整復術を試行したが整復できず,拡張腸管の減圧のみ行った。腹部症状は軽快したが,8時間後に腹痛の再燃を認めた。内視鏡的整復術を再試行したが整復できず,拡張腸管内に経肛門的イレウス管を留置した。当科紹介となり,CT検査で結腸脾弯曲部の腸管気腫と腸間膜の浮腫を認めたため緊急手術を施行した。腹腔鏡下に観察すると,結腸脾弯曲部は拡張し,反時計回りに約180度捻転していたが,漿膜面の色調は良好であった。結腸脾弯曲部を切除して機能的端々吻合で再建を行った。結腸脾弯曲部捻転症に対して腹腔鏡下手術を施行した報告はないが,安全に施行することが可能と考えられたので報告する。