日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下手術で治療し得たS状結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻の1例
戸口 景介外山 和隆山口 拓也
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2018 年 38 巻 6 号 p. 1065-1070

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抄録

症例は52歳,男性。左下腹部痛,排尿時痛,気尿を認め当院受診した。腹部CTでS状結腸に憩室を多数認め,S状結腸と膀胱との癒着を認めた。膀胱内にairを認めたことから,S状結腸憩室炎による結腸膀胱瘻と診断した。絶食点滴抗生物質治療による炎症軽快後に手術を施行した。手術は腹腔鏡下に施行し,腹腔鏡手術による拡大視効果で剝離層を結腸側で行い,瘻孔はVessel Sealing Systemで切離した。S状結腸を切除し,一期的にS状結腸直腸を吻合した。膀胱に約200mL生理食塩水を注入し,瘻孔部からの流出のないことを確認し,膀胱には特別な操作を加えることなく手術を終了した。膀胱内減圧目的で尿道バルーンを留置していたが,術後6日目に抜去した。術後18日目に軽快退院となった。S状結腸憩室炎による結腸膀胱瘻は,炎症軽快後に腹腔鏡下で治療することで合併症が少なく低侵襲に治療することが可能となると考えられた。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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