2018 年 38 巻 7 号 p. 1209-1212
症例は67歳,男性。頭部血管肉腫に対して当院皮膚科で放射線療法中に腹部膨満および腹痛が出現した。腹部CTで,回腸の壁肥厚と,同部より口側小腸の拡張が認められた。腸閉塞と診断し,イレウス管による保存的治療を行うも改善が認められないため手術を施行した。腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ回腸に約5cm大の暗赤色の腫瘍を認め,口側小腸の拡張を伴っており,同部位が閉塞起点と考えられた。小開腹をおき,小腸部分切除術を施行した。病理組織学的検査では頭頂部血管肉腫からの小腸転移と診断された。血管肉腫からの小腸転移はまれであり,文献的考察を加えて報告する。