2018 年 38 巻 7 号 p. 1241-1245
症例は49歳,男性。近医で約2週間前に右鼠径ヘルニア(日本ヘルニア学会分類:Ⅱ–2型)に対しDirect Kugel法で修復術を施行された。前日からの腹部膨満感を主訴に当院受診し,ヘルニア修復のメッシュ部位への癒着が起点となった癒着性イレウスと診断し,緊急で腹腔鏡下手術を施行した。ヘルニア修復部に腹膜欠損を認め,同部位で小腸がメッシュに強固に癒着し腹膜前腔へ脱出し,イレウスを呈していた。メッシュごと腸管周囲剝離を行い,transabdominal preperitoneal hernia repair(TAPP法)に準じて再修復を行った。メッシュが癒着した小腸は小開腹下に切除した。初回手術時の腹膜損傷が原因と考えられ,腹膜前腔の剝離操作は慎重に行う必要があった。鼠径ヘルニア術後のイレウスはまれだが,腹膜欠損による発症形態を念頭に置き,早期診断と積極的な手術加療が重要であると考えられた。