2019 年 39 巻 1 号 p. 033-037
症例は72歳,女性。既往歴として,左下腿静脈瘤に対する手術歴がある。3日間持続する腹痛,嘔吐を主訴に近医を受診し,腸閉塞と診断され,当院を紹介受診した。来院時,腹部全体に著明な圧痛と反跳痛があり,血液検査上,炎症反応上昇と腎機能障害を認めた。腹部CTでは小腸拡張と小腸間膜の脂肪織濃度上昇を認めた。以上より絞扼性腸閉塞を疑い,緊急開腹手術を行った。暗赤色の腹水を多量に認め,約100cmの回腸が壊死しており,回腸部分切除術を施行した。術中に回腸間膜静脈内に血栓を認め,上腸間膜静脈血栓症と診断した。術後は抗凝固療法を行い,血栓縮小化に難渋したが,再手術を行うことなく経過した。来院時の血液検査でプロテインC:63%,プロテインS:10%未満と低下していた。プロテインCおよびSの欠乏を伴う上腸間膜静脈血栓症はまれであり,文献的考察を加えて報告する。