2019 年 39 巻 1 号 p. 105-107
症例は80歳代女性。自宅階段で転落し近医へ搬送された。右恥坐骨および仙骨骨折と診断されたが輸液に反応しないショックが遷延するため当院転院となった。転院後も依然循環は不安定であり骨盤骨折による出血性ショックと診断した。ただちにゼラチンスポンジによる両側内腸骨動脈に対する経カテーテル的動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:以下,TAE)と創外固定術を行い循環動態の安定を得た。しかし翌日になり貧血が進行したため造影CT検査を行ったところ仙骨骨折部にcontrast blushを認めた。再度血管造影を行い正中仙骨動脈の大きな仮性動脈瘤に対してマイクロコイル塞栓を施行した。再TAE後は順調に経過し第17病日に前医転院となった。骨盤骨折による後腹膜出血には,正中仙骨動脈など内腸骨動脈以外の血管がときに関与するため重症例では初療時から考慮しておく必要があると思われた。