2019 年 39 巻 1 号 p. 123-127
症例は48歳男性。発熱と心窩部痛を主訴に当院を受診した。腹部造影CTで胃および横行結腸と接する8cm大の膿瘍形成を伴う腫瘍を認めた。膿瘍ドレナージを行ったのちに超音波内視鏡検査で胃原発粘膜下腫瘍と診断し開腹手術を施行した。術中所見より一部腹直筋を合併切除する形で胃局所切除および横行結腸部分切除で腫瘍を摘出した。病理結果ではβカテニンが核内陽性の紡錘形細胞を認め,腹腔内腸間膜型デスモイド腫瘍と最終診断した。デスモイド腫瘍は臨床的には悪性の転帰を示すことがあるため,外科的切除が第一選択とされているが,局所再発のriskが高く切除後も十分な経過観察が必要である。本疾患は非常にまれであるが,関連因子のないものはとくに報告が少なく,本邦では18例のみである。さらに腹膜炎を伴った症例はそのうち自験例も含めて3例のみであった。