日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
外傷性空腸損傷をきたしたEhlers-Danlos症候群の1例
鈴木 勇人道傳 研太島田 麻里北村 祥貴稲木 紀幸
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2019 年 39 巻 1 号 p. 145-148

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抄録

患者は23歳の男性。既往歴にEhlers-Danlos症候群(以下,EDS)があった。自動車同士の衝突事故で受傷し,当院に救急搬送された。精査で左気胸,左多発肋骨骨折,右肺挫傷および脾損傷と診断され,経過観察目的で入院となった。受傷から約8時間後に急激な腹痛の増強を認め,腹膜刺激徴候も伴ったので再度CT検査をしたところ,腸管穿孔および汎発性腹膜炎の診断のため緊急開腹手術を行った。3ヵ所の外傷性空腸損傷を確認し,穿孔部の縫合閉鎖術を施行した。術後経過は良好であり術後3日目に水分摂取を開始,5日目に食事再開,12日目に自宅退院となった。EDSでは各組織の脆弱性と易出血性のため手術および周術期の管理には注意が必要であり,遅発性穿孔が起こりうることにも気をつけなければならない。文献的考察を加え報告する。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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