日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
直接経口抗凝固薬内服中に胆囊穿孔,腹腔内出血に至った出血性胆囊炎の1例
片野 薫山口 貴久宮下 知治岡崎 充善牧野 勇田島 秀浩太田 哲生
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2019 年 39 巻 1 号 p. 141-144

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抄録

症例は59歳,男性。アルコール性肝硬変に伴う門脈血栓症に対し直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:以下,DOAC)を内服中であった。心窩部痛,嘔気,失神発作が出現したため近医を受診。単純CTで胆囊内出血,血性腹水を指摘され当院へ転院搬送となった。当院来院時,血圧は低下し,腹部は膨満,上腹部に筋性防御を認めた。急速輸液,血管作動薬投与で血圧を安定化させた後,造影CTを施行したところ,胆囊内部に造影剤の漏出像を認めた。胆囊出血・穿孔の診断で緊急手術を施行した。術中所見では腹腔内に大量の血液が充満し胆囊底部に穿孔部を認めた。胆囊頸部を一部残し胆囊部分切除術を施行した。病理検査では高度の炎症細胞浸潤,出血を認め,出血性胆囊炎と診断した。DOACの内服や胆囊結石,アルコール性肝硬変を背景とした出血性胆囊炎から胆囊穿孔,腹腔内出血に至ったと考えられた。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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