2019 年 39 巻 3 号 p. 545-548
症例は79歳,男性。開腹手術歴はない。現病歴として,食後の心窩部痛と嘔吐を認め近医を受診。腸閉塞が疑われ,加療目的に当院に紹介となる。来院時,心窩部に圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認めなかった。血液検査上,炎症反応と乳酸値が上昇しており,腹部CTで小腸壁の造影不良と口側小腸の拡張,腹水貯留を認めた。絞扼性腸閉塞を疑い,同日緊急開腹手術を行った。開腹所見では淡血性腹水がみられ,大網と小腸間膜が索状に癒着し,同部位に小腸が陥入し絞扼されている所見を認めた。陥入した小腸は60 cm長で壊死しており,小腸部分切除術を施行した。術後経過は良好で第9病日に退院した。開腹手術歴のない絞扼性腸閉塞の術前診断は困難なことが多い。自験例では,索状化した大網による内ヘルニアが原因であった。開腹歴のない患者の腸閉塞では,腹部症状が出現しにくい大網索状物による腸閉塞も念頭に置き,手術適応を判断する必要がある。