日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
特集:Complicated appendicitisの診断と治療戦略
Complicated appendicitisの現状と関与因子
松田 圭二岡田 有加大野 航平八木 貴博塚本 充雄福島 慶久堀内 敦島田 竜小澤 毅士端山 軍土屋 剛史野澤 慶次郎橋口 陽二郎
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2019 年 39 巻 4 号 p. 629-635

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抄録

近年,壊疽性および穿孔性の虫垂炎が複雑性虫垂炎(complicated appendicitis:以下,CA)とよばれ注目されている。本稿では,CAの現状と関与因子について概説する。当科で治療された虫垂炎手術症例196例は,CA群が89例45%,非CA群が107例55%であった。CA群は非CA群よりも男性が多く,年齢やBMIが高く,白血球数とCRPが高く,緊急手術や回盲部切除が多く,手術時間が長く,出血量が多く,切開創も長く,ドレーン留置が多く,術後合併症も多く,入院期間も長かった。CA群の有意なリスク因子は,CRP 1.83mg/dL以上,白血球数14,200/μL以上,年齢35歳以上であった。ガイドラインでは,●穿孔性急性虫垂炎では腹腔鏡下手術を行ってもよい,●腹膜炎の症状がない腫瘤形成性の虫垂炎には非手術を選択してもよい,●CAでは術後抗菌薬が推奨される,●CAでは経皮的ドレナージも選択される,であった。CAで緊急手術をしない場合は,悪化する可能性を考慮し,患者を慎重にフォローアップすることが肝要である。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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