2019 年 39 巻 6 号 p. 1095-1099
症例は63歳女性。健診でバリウムによる上部消化管造影検査が施行された。翌日の夜間,突然下腹部痛が出現し当院へ救急搬送となった。腹部造影CT検査で,横行結腸から直腸にかけてバリウムの遺残と骨盤底に強いアーチファクトをひく巨大なバリウム陰影を認めた。S状結腸周囲と肝表面に腹腔内遊離ガス像を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した。まず試験腹腔鏡を行ったところ,Douglas窩に汚染した腹水を認め,大網がS状結腸を被覆していた。下部消化管穿孔を疑い,下腹部正中切開で開腹した。S状結腸に約3cmの穿孔部位を認め,Douglas窩に約8cmのバリウム塊を認めたことから,バリウム塊による下部消化管穿孔と診断した。穿孔部を挙上し双孔式人工肛門造設・腹腔内洗浄ドレナージ術を施行した。バリウムによる上部消化管造影検査後の大腸穿孔はまれであるが,重篤な転帰をとるケースも散見される。文献的考察を加えて報告する。