日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
受傷1週間後に仮性動脈瘤を認め塞栓術を施行した小児脾損傷の1例
加藤 悠人佐藤 幸男金子 靖筒井 麻衣高野 公徳山本 聖一郎中川 基人葉 季久雄
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2019 年 39 巻 7 号 p. 1191-1194

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抄録

外傷による脾仮性動脈瘤形成の自然経過は明らかでない。今回,われわれは受傷後1週間で撮像した腹部造影CT検査で脾仮性動脈瘤を認めた症例を経験した。患者は8歳の女児で,遊戯施設で転倒して左側胸部を丸太で強打して受傷した。来院時の腹部造影CT検査で日本外傷学会損傷分類2008のⅢb型脾損傷と腹腔内出血があった。造影剤の血管外漏出はなく,循環動態は安定しており,非手術的治療(nonoperative management:NOM)の方針として入院した。入院後も循環動態は安定して推移した。受傷1週間後の腹部造影CT検査で脾内に仮性動脈瘤を認め,経カテーテル動脈塞栓術を施行した。受傷12日目に軽快退院し,2ヵ月間の運動制限を指示した。受傷後3ヵ月で外来通院を終了した。脾仮性動脈瘤の発生機序や自然経過は明らかでない点が多く,診断とその治療は定まっていない。今後も症例の蓄積が必要と考える。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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