2019 年 39 巻 7 号 p. 1239-1242
症例は13歳,男児。早朝の運動中に腹痛が出現し,昼食後に増悪して当院へ救急搬送された。腹部は平坦・軟で臍上部に限局した強い圧痛を認めた。腹部造影CT検査で上腸間膜動脈を軸とした時計回りのねじれを認め,腸捻転を強く疑って緊急手術を施行した。腹腔鏡で観察すると,上行結腸が後腹膜に固定されておらず左側に捻転していた。鏡視下での整復は困難であり,開腹へ移行した。上行結腸および小腸が時計回りに180度捻転していた。腸管に壊死や穿孔は認めなかった。以上の所見より腸回転異常に伴う腸軸捻転症と診断した。捻転を整復し,上行結腸を後腹膜に固定した。術後経過は良好で,術後6日目に軽快退院となった。若年期以降の腹痛の原因として腸回転異常に伴う腸軸捻転症はまれであり報告する。