日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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症例報告
術直後の大腸吻合部出血に対し内視鏡的止血術が有効であった3例
山田 衣里佳関根 悠貴市川 亮介宮野 省三渡野邉 郁雄町田 理夫須郷 広之児島 邦明
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2019 年 39 巻 7 号 p. 1251-1254

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抄録

器械吻合後の吻合部出血はまれな合併症であり,術直後の吻合部出血に対する内視鏡的止血術は縫合不全惹起のリスクから,これまで報告は少ない。今回,大腸切除後早期の器械吻合部からの出血に対し内視鏡的止血術を施行した3例を経験した。症例1は74歳女性で開腹横行結腸切除術後,第1病日に内視鏡的止血術を施行。症例2は57歳女性で腹腔鏡下S状結腸切除術後,第2病日に施行。症例3は49歳男性で開腹回盲部切除術後,第3病日に施行された。3例とも吻合は機能的端々吻合であり,クリッピングによる止血を行った。3例とも止血後,再出血や縫合不全を認めず良好な結果であった。今回の経験から術直後であっても内視鏡的検査は安全に施行可能であり,吻合部出血に対する有用な止血法になるものと思われた。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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