2020 年 40 巻 3 号 p. 507-511
症例は73歳女性。突然の下血で救急搬送された。上部消化管内視鏡検査で出血源を認めず,単純CTで上行結腸内に血液貯留を認めるも,出血源は不明であった。入院後も下血が持続したため造影CTを施行したところ,冠状断面で計測して,バウヒン弁から口側約8cmの小腸に活動性出血を認めた。ショック状態であり緊急手術を施行した。開腹するとバウヒン弁より口側20cmの範囲に血液が貯留しており,その部分を含めて回盲部切除術を施行した。切除後より血圧はすみやかに上昇した。術後経過良好で16病日に退院となった。病理所見ではバウヒン弁より8cm口側の回腸に単発の憩室を認め,回腸憩室出血と診断した。小腸出血に対する緊急手術は出血点がわからず,切除範囲の決定に難渋することがある。本症例では,造影CTの多断面再構成画像の情報よりバウヒン弁から出血点までの距離を正確に計測し,確実に責任病変を切除したことで救命できた。