2020 年 40 巻 5 号 p. 633-636
症例は60歳台女性。右鼠径部の膨隆を主訴に受診した。CTにおいて腹腔内から大腿輪へ続く腫瘤影を認め,大腿ヘルニア嵌頓の診断で手術の方針とした。腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ大腿輪に嵌入する虫垂を認め,de Garengeot herniaと診断した。虫垂はヘルニア囊内に強固に癒着しており,鼠径部切開法を併施しヘルニア門を開放することで嵌頓を解除し,腹腔鏡下に虫垂切除とtransabdominal preperitoneal approach (TAPP)法による後壁補強を施行した。大腿ヘルニア嵌頓に対する腹腔鏡アプローチは治療のみならず診断にも有用であると考えられた。