日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
若年外傷性膵損傷に対してWarshaw手術を行い脾臓温存可能であった1例
若林 俊樹阿部 恭菊地 功佐藤 勤
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2020 年 40 巻 6 号 p. 795-798

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抄録

症例は17歳男性。サッカーの試合中に相手の膝が左上腹部を強打し受傷,当院に救急搬送された。腹部造影CT検査で,膵実質の完全離断が疑われ,脾動脈からの血管外血液漏出像を認めた。脾動脈損傷を伴うⅢb型膵損傷と診断し手術の方針とした。術中所見で膵尾部は完全断裂し,同レベルの脾動脈からの持続性の出血を認めた。脾動静脈の温存は困難であり短胃動静脈を温存し脾臓温存膵尾部切除術(Warshaw手術)を施行した。術後はおおむね良好に経過し,造影CTでは脾臓の血流は保たれており第18病日に退院した。外傷性膵損傷は比較的若年者が多く臓器温存が考慮されるべきである。Warshaw手術は簡便性からも外傷手術において有効な術式であると考えられた。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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