日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術中所見で胃切除不要と判断し内科的治療が奏効した気腫性胃炎の1例
堀江 博司西原 政好松村 敏信
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2020 年 40 巻 7 号 p. 845-848

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抄録

症例は77歳,女性。糖尿病,自己免疫性肝炎が既往にありプレドニゾロン5mg内服中であった。クモ膜下出血に対してコイル塞栓術が施行され,当院脳神経外科に入院となっていた。経管栄養が開始された6日後,発熱,嘔吐,心窩部痛が出現し腹部CTを施行したところ,胃壁内気腫を認め,気腫性胃炎と診断した。緊急上部消化管内視鏡検査を施行し,胃体部から前庭部にかけて一部壊死を伴う高度の粘膜障害を認めた。緊急手術を施行したが,胃壁の全層壊死を認めなかったため胃切除は施行せず,胃瘻を造設のうえ,広域抗菌薬を中心とした内科的治療の方針とした。その後全身状態は安定し退院となった。術中所見で胃切除不要と判断し内科的治療が奏効した気腫性胃炎の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

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© 2020, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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