2021 年 41 巻 5 号 p. 367-370
症例は87歳女性で,前日からの下腹部痛で当院を受診した。炎症反応の上昇は認めなかったもののCT上,小腸の拡張と内部に球状異物を認め,異物による腸閉塞の診断で同日緊急手術を施行した。腹腔鏡で観察後,高度な癒着のため開腹に移行した。拡張部位はMeckel憩室であり,憩室内に4cm大の結石が嵌頓していた。小腸を切除し憩室および結石を摘出した。病理組織学的所見では憩室粘膜に壊死,出血,膿瘍の所見を認めていた。腸石については成分分析の結果真性腸石と診断した。真性腸石を伴うMeckel憩室炎により腹痛をきたした極めてまれな1例を経験したため,文献的考察を加え,報告する。