2021 年 41 巻 6 号 p. 481-484
胆囊穿孔は腹部鈍的外傷のなかで比較的まれである。今回われわれは,屋内での転倒による右側腹部打撲後に胆囊穿孔をきたした2例を経験した。1例目は77歳男性,飲酒後の転倒により右側腹部を受傷した。10日後に受診し,胆囊穿孔の診断に至った。2例目は86歳女性,自宅での転倒により右側胸部を受傷した。翌日近医を受診したが,腹部所見が顕在化するまで診断に至らなかった。2例とも即座には胆囊穿孔の診断に至らず,保存的治療が行われた。しかし,炎症所見の改善がみられず,1例目は受傷15日後,2例目は10日後に開腹胆摘が行われた。右側腹部外傷後,それが軽微であっても腹痛・炎症所見が持続する場合には,胆囊穿孔を考慮に入れ腹部画像診断を行うべきと考えられる。