2021 年 41 巻 7 号 p. 591-594
症例は67歳男性,統合失調症で他院で長期入院中の患者であり,腹部違和感を訴え腹部CTが施行された。腹腔内遊離ガスを認め,消化管穿孔疑いで当院紹介となった。身体所見では腹膜刺激症状を認めず,血液検査でも炎症反応の上昇を認めなかった。しかし意思疎通が十分でなく,痛みの評価が困難であり,消化管穿孔の疑いで試験開腹術となった。開腹所見では汚染腹水は認めず,胃,小腸,大腸に明らかな穿孔部位を認めなかった。ドレーンをモリソン窩に留置し,手術を終了した。術後経過は良好で,術後21日目に退院となった。その1ヵ月後に嘔吐を認め,腹部CTで腹腔内遊離ガスを認め,再紹介となった。前回同様に異常所見に乏しく,特発性気腹症と診断し,保存的加療で軽快した。腹腔内遊離ガスを認めた場合でも,異常所見に乏しい症例では,本症例を念頭に置くことで,手術回避できる可能性があると考えられた。