2021 年 41 巻 7 号 p. 595-597
95歳女性,腰椎圧迫骨折による体動時痛で,食事摂取困難となり救急搬送され,高度脱水による電解質異常,腎前性腎不全,意識障害の診断で緊急入院となった。全身状態軽快後の経過中に突然の発熱,人工肛門周囲の発赤と腫脹,著明な圧痛を認め,炎症反応が高値であった。CTを撮影し,人工肛門脚の穿孔が原因と診断した。超高齢かつ耐術能に乏しかったため,感染コントロール目的に局所麻酔下で切開ドレナージを施行し,禁飲食と抗菌薬による治療を開始した。治療により,腸管の穿孔部が外瘻化された後に炎症は軽快した。食事開始後にドレーンを抜去し,処置後12ヵ月で療養型病院へ転院となった。人工肛門脚の穿孔の治療は開腹手術が行われることが多いが,局所のドレナージで軽快した症例を経験したので報告する。