2022 年 42 巻 3 号 p. 465-468
症例は44 歳女性。早朝,心窩部痛で救急搬送された。全身状態は安定しており腹部所見は軽度圧痛を認めるのみであった。造影CT で分節性動脈中膜融解による左胃大網動脈瘤破裂が疑われたが,造影剤の血管外漏出は認めなかった。また膵背面に強い造影効果を伴い内部に造影不良を有する直径38mm の類円形腫瘤を認め傍神経節腫が疑われた。胃大網動脈瘤は自然止血しており保存的加療の目的で入院した。入院後の各種検査において尿中カテコラミン代謝産物および血中カテコラミンが高値であり傍神経節腫と診断した。後日,開腹腫瘍切除を行い病理組織学的に傍神経節腫であることが確認された。傍神経節腫は造影剤を含め禁忌薬剤が多数ある。分節性動脈中膜融解の治療として血管内治療が選択肢としてあげられるが,造影剤禁忌とされる傍神経節腫を合併しており治療方針に難渋したため文献的考察を加え報告する。