日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
検査設備が限られている状況下で経験したInvasive Liver Abscess Syndrome(ILAS)の1例
佐藤 真生加藤 健齊藤 孝鈴木 克彦松平 直哉
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キーワード: 肝膿瘍, Klebsiella pneumoniae, KLA, ILAS
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2022 年 42 巻 5 号 p. 611-613

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抄録

73歳,女性。発熱を主訴に当院を受診し,肝膿瘍と胆石胆囊炎疑いの診断で入院した。血液培養でKlebsiella pneumoniae(以下,KP)が検出された。第6病日に左眼内炎の所見があり,視力は手動弁まで低下しており,転移性眼内炎と診断された。大学病院に紹介し,眼科手術が行われ,視力は指数弁まで改善した。経皮経肝膿瘍ドレナージも施行され,培養でKPが検出された。KPのムコイド型による肝膿瘍では,全身に膿瘍と炎症が転移するinvasive liver abscess syndrome(ILAS)が続発し,失明などの後遺症が問題になる。これに予防的に対応するにはPCR検査や培養検体を用いてのstring testが有用とされるが,自施設にそのような検査設備が限られている状況下では培養結果を待たずに眼科検索を検討するべきである。

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© 2022 日本腹部救急医学会
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