日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
術前診断可能であったS状結腸間膜窩ヘルニアの2例
田中 伶於大田 信一中村 一郎楠井 隆
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2022 年 42 巻 7 号 p. 741-744

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抄録

症例1は40歳台,女性。左下腹部痛,嘔吐を主訴に当院を受診した。造影CTでは小腸拡張所見と骨盤内にループ像を認めた。S状結腸間膜ヘルニアの診断で手術を施行した。手術ではS状結腸間膜の欠損孔に小腸の嵌頓を認めた。嵌頓小腸は色調不良を認めなかったため温存し,結腸間膜の内ヘルニア門を縫縮閉鎖した。症例2は50歳台,男性。改善しない腹痛を主訴に受診した。造影CTで小腸拡張とS状結腸近傍でのループ像を認め,S状結腸間膜ヘルニアを疑った。保存的加療をしたが改善せず,手術を行った。手術ではS状結腸間膜にポケットが形成され回腸の陥入を認めた。嵌頓回腸には虚血性変化を認めなかったため温存した。S状結腸間膜ヘルニアは術前診断が困難であるとされているが,造影CTで骨盤左側に短いループ像形成を認め,S状結腸間膜ヘルニアと術前診断可能であった。

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