2023 年 43 巻 6 号 p. 969-972
症例は69歳,女性。6年前より混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:以下,MCTD)と診断され加療中,約半月前より下腿浮腫が出現し,手術同日当院受診。心不全が疑われ胸部X線を撮影されたところ,free airを認め手術目的に紹介となった。身体所見は腹部膨満と軽度の圧痛のみで,WBC 2,700/μL,CRP 0.04mg/dLと炎症所見もなかったが,ステロイド長期投与後,免疫抑制剤で加療中であり,free airと腹水を認めたため,手術方針となった。全腸管の観察のため開腹し,中等量漿液性の腹水を認めたが,明らかな穿孔部は認められなかった。術後は便秘と下痢の調整にやや難渋したが,その他は問題なく術後21日目に退院となった。今回われわれは,MCTD経過中,腹部膨満とfree airと腹水のある女性に緊急開腹術を行ったが,消化管穿孔を認めなかった1手術例を経験したので報告する。