2024 年 44 巻 1 号 p. 39-42
症例は69歳,女性。来院当日未明からのめまい,頻回の嘔吐,および呂律が回らないことを主訴に当院へ救急搬送された。頻脈と頻呼吸あり,腹部は膨満を認めるのみで明らかな圧痛はなかった。神経所見はすみやかに消失し,頭部CTおよびMRIでも異常を認めなかった。腹部単純CTではS状結腸から直腸に宿便あり,狭窄部より口側結腸の著明な拡張を認めた。受診から約6時間後に一過性の意識消失あり,直後よりショックを呈し,腹部全体の圧痛と筋性防御を認めた。造影CTでは明らかな穿孔なく,閉塞性大腸炎による敗血症性ショックと判断して緊急手術を施行した。手術所見では盲腸からS状結腸にかけて壊死,色調不良,腸管壁の菲薄化を認め,大腸亜全摘術および回腸人工肛門造設術を施行した。術後経過は良好で22日目に退院した。術後110日目に人工肛門閉鎖術を行った。宿便による閉塞性大腸炎は極めてまれであり,若干の文献的考察を交えて報告する。