日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
Riedel葉が腹部診察と腹腔鏡手術に影響した急性虫垂炎の1例
油木 純一草野 佑仁大惠 匡俊山本 寛
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2024 年 44 巻 5 号 p. 723-726

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抄録

症例は47歳,女性。2日前に心窩部痛と左下腹部痛を発症し,徐々に右下腹部へ腹痛が移行し増強したため救急外来を受診した。右下腹部に約3cm大の腫瘤を触知したが圧痛はなく,右骨盤内に限局する圧痛を認めた。CTで右下腹部まで達するRiedel葉を認め,右骨盤内の腸腰筋前面に腫大した虫垂を認めた。急性虫垂炎と診断し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。Riedel葉の損傷に注意を要したが,大きな合併症なく終了した。術後も合併症なく5日目に退院した。Riedel葉は肝右葉から臍以下まで突出する舌状の肝奇形である。Riedel葉は右下腹部に腫瘤として触知するため診察に影響する。手術では解剖の変化や不用意な臓器損傷に注意が必要と考えられた。当院で撮影したCTでは9.8%(40例/410例)の頻度であり,外科医がRiedel葉を経験する可能性は低くない。虫垂炎など右下腹部疾患を診断・治療する際はRiedel葉の存在を意識することが重要と考えられた。

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