2024 年 44 巻 5 号 p. 717-721
症例は62歳,女性。5年前から複数回血便があり,精査されたが出血源は特定できず憩室出血疑いとされていた。今回大量の黒色便を3回認めたため前医を受診し,腹部造影CTで小腸腫瘍が疑われ緊急入院となったが,入院2日目未明にショックとなったため手術加療目的に当院へ転院搬送となった。緊急開腹手術で空腸間膜対側に7cm大の腫瘤を認め,小腸部分切除術を施行した。病理組織学的検査所見では細長い核と好酸性細胞質をもつ紡錘形細胞が束状に増殖し,免疫染色でc-kit陽性,CD34陰性,S100陰性,desmin陰性であり,小腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)と診断した。多量の消化管出血の原因としてGISTを疑う小腸腫瘍を同定できた場合,腫瘍径や来院時のHb値,ショックの有無にかかわらず,状態が悪化する可能性があるためすみやかな外科的治療が必要だと考える。