2025 年 45 巻 5 号 p. 498-502
症例は 100歳,女性。慢性心不全と肺血栓塞栓症,喘息に対して内服加療中。暗赤色下血を主訴に当院へ搬送された。上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy:以下,EGD)では出血源は同定できず,保存加療を行った。食事と抗凝固薬を開始後,大量に暗赤色下血を認めショックバイタルとなり,EGDを再度行うも出血源は同定できなかった。再度絶食補液で加療中に暗赤色の下血をしたため,造影CT検査を施行したところ,右肝動脈に由来する動脈瘤が胆囊内に穿破しており,同部位からの出血と考えられた。周術期のリスクを重々説明したうえで手術加療を行い,右肝動脈前区域枝を根部で結紮後,動脈瘤と胆囊を切除した。手術加療後,再出血はせずに退院となった。腹部症状や肝酵素上昇,EGDで乳頭部からの出血を認めず,胆道出血を早期に疑うことができなかったため,診断に難渋した。出血源が同定できずに消化管出血を繰り返す症例では,胆道出血を鑑別疾患として想定するべきであった。