日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
圧排による門脈左枝の血流障害を合併した左肝動脈瘤破裂に対して肝動脈瘤切除術を選択した1例
羽田 拓史末永 雅也金原 佑樹梅村 卓磨袴田 紘史冨永 奈沙宇野 泰朗
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キーワード: 肝動脈瘤, 門脈, 肝虚血
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2025 年 45 巻 7 号 p. 640-643

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抄録

症例は57歳,女性。腹痛を主訴に当院へ搬送された。腹部造影CT検査で左肝動脈に30mmの肝動脈瘤と,肝十二指腸間膜内の血腫を疑う所見を認めた。門脈左枝は肝動脈瘤による圧排像を呈していたが,肝左葉の造影効果は保たれていた。左肝動脈瘤破裂の診断で,緊急で血管内治療の方針とした。しかしながら,門脈造影で門脈左枝に明らかな造影不良を認めたため,左肝動脈塞栓術により肝梗塞を合併する危険性を考慮して外科的手術で対応する方針に変更した。術中所見で肝十二指腸間膜から門脈臍部に局在する動脈瘤と,肝下面には血性腹水を認めた。術中超音波検査では動脈瘤の圧排による門脈左枝の血流低下を認めた。肝動脈瘤切除術を施行し,摘出後に門脈左枝の血流が改善したことを確認した。肝動脈瘤治療の第一選択は血管内治療であるが,門脈血流の低下を合併する症例では,肝虚血の回避のために外科的切除は有効と考えられる。

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