2026 年 46 巻 1 号 p. 29-31
網囊ヘルニアは内ヘルニアのなかでも比較的まれとされているが,画像診断の普及・進歩により術前診断も十分可能となった。症例は30歳,男性。上腹部痛,嘔吐を主訴に受診され,造影CTで胃の背側を通り小網内に脱出する拡張した小腸を認めたため,網囊ヘルニアの診断で同日緊急手術を実施した。手術は腹腔鏡下に行い,胃後壁と膵前面の膜様癒着により形成されたヘルニア門を通って大網に被覆された小腸が網囊内に嵌頓していた。ヘルニア門を広く切開して嵌頓を解除することで手術を終了し,術後6日目に独歩退院となった。本例は網囊ヘルニアのなかでも大網や小網などに異常裂孔が存在しないという極めてまれな症例であった。網囊ヘルニアを含む内ヘルニアと診断した場合は,早期の外科的介入を行うことで治療の低侵襲化が得られると考える。