2026 年 46 巻 1 号 p. 32-35
本邦において,oncologic emergencyにおけるdamage control surgery(以下,DCS)の報告は少ない。われわれは,直腸癌に伴う劇症型虚血性大腸炎により重篤な状態に至ったが,DCSにより救命した症例を経験した。本症例では,結腸が広範に壊死し,一時心肺停止に至るほど血行動態は不安定であった。著明なアシドーシスも認めたため,初回手術では壊死腸管の切除のみ行い,open abdomen management(OAM)を実施した。術後はすみやかに集中治療管理を行い,全身状態の改善が得られた後に,二期的に人工肛門造設および腹壁閉鎖を行った。DCSによって救命できたことより,患者・家族が病態を理解する時間ができ,その後の治療法を選択することができた。また時間的猶予を得られたことにより,大腸専門医が介入し腫瘍学的治療方針の検討が可能となった。