2026 年 46 巻 1 号 p. 41-45
症例は88歳,女性。大腿骨骨折後のリハビリ目的で近医入院中に呼吸困難を発症し,当院紹介となった。腎盂腎炎を併発した心不全と診断し,抗菌薬と利尿薬の投与で改善したが,入院8日目に直腸穿孔を発症し,Hartmann手術を施行した。術後3日目に血液培養からClostridioides difficile(以下,CD)が検出され,CD菌血症と診断し,vancomycin(以下,VCM)の経静脈投与,経口投与を追加した。術後6日目には下痢を認め,便のCDトキシン陽性で,CD腸炎と診断した。その後下痢,炎症反応も改善し,CD菌血症,CD腸炎ともに治癒を得た。CDは抗菌薬関連腸炎の主要な病原菌で,無症候性キャリアから重症感染症までさまざまな病態をとり得る。CD菌血症は非常にまれで,治療法は確立されていないが,CD腸炎を併発した場合には,VCMの経口投与と経静脈投与の併用が有効と考えられた。