日本腹部救急医学会雑誌
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肝, 胆, 膵の救急疾患の診療と研究; EBMから分子生物学まで
第37回日本腹部救急医学会総会会長講演
平田 公一浦 英樹池田 慎一郎鬼原 史木村 康利桂巻 正向谷 充弘佐々木 一晃
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2003 年 23 巻 1 号 p. 13-26

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抄録
今回の学会の主題とした「EBMとしての腹部救急疾患診療の探究」という立場から, 演者が専門領域と自負する肝・胆道・膵の腹部救急疾患の一部を抽出し, それらのEBMの視点からの診療の概説と, 本邦の今後の臨床研究の在り方などについて言及した.加えて, 当該領域の基礎研究のup to dateの情報から, いかなる基盤的研究を行うべきかについてもご紹介させていただきたい.対象とした代表的疾患として, 劇症肝炎に代表される急性肝不全, 胆道においては急性胆嚢炎, 急性胆管炎, 膵においては重症急性膵炎である.重症急性膵炎については, 本学会の支持を得ているガイドライン (案) がシンポジウムIとして第1日目午前中に紹介されたことから, 本稿に触れることを避ける.さて, 昨今といえども基盤的研究については, 代表的腹部救急疾患としての難治性炎症性疾患をdrasticに治癒せしめるという夢のような将来構想はほとんど見当たらない.そこでわれわれの教室で研究しているサイトカインや免疫を応用した療法にも若干触れたい.さらに人工肝を念頭においた肝細胞への分化を示す幹細胞として把握されている小型肝細胞の特徴とその臨床応用の可能性についても紹介させていただく.
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